2009年11月6日金曜日

海の向こうからの家選び

前にフィンランドから日本へ越した方が、現地から日本の家を購入したと聞いたときには、よく見ないで決められるものだ、とあきれたり感心したりしたものでしたが、まさか自分がそれをやることになるとは思いもしませんでした。とはいえ、夫はすでに日本で働いているので、彼が休日返上で奔走し、下見や不動産屋めぐりをし、写真をたくさんとってオンラインのアルバムにアップロードしてくれたのです。

家を選ぶとき、家の間取りも大切ですが、先ず家の周囲、近所の様子を大切にしています。今住んでいる家も、周囲の様子が子供時代の近所を思わせ、空き地や緑の多い、ゆったりと家の立つところだったのが気に入って選びました。見知らぬ土地で家を選ぶとなると、周囲の様子がわからないので、余計に難しい。一度は短期で帰国しようかとも思ったのですが、決め手になったのは、Googleのストリートビューでした。Googleのサイトから地図を開けるのですが、この地図を使って、知りたい通りの様子を写真で、歩いている目線で360°見ることができるのです。通りを進んだり、戻ったり、見回したりができるので、実際にそこを散歩しているのと同じ感じで見ることができます。
これを作るのは大変な労力でしょう。すべての通りが網羅されているわけではなく、購入した家の通りは残念ながらビューがなかったのですが、その近所の通りはくまなく散歩しました。そして、神社やお寺の近い、畑の残る古い一角を選んだのです。

全く馴染みのない市川という土地を選んだのは別にいきさつがあります。
夫の勤務地が有楽町なので、東京近辺に探すのですが、彼は特に希望はなく、わたしは古い土地に住みたかった。新興住宅地に生まれ育ち、学生時代も、結婚してからも、ほとんど新しい住宅地、今住んでいるタンペレも産業革命のなかで生まれた工業都市。そのせいか、歴史のある土地に憧れがあるのです。そして住人が土地に愛着を持っているところが好きです。

今年の夏休みの帰国で、住む土地を決めることにしていましたが、そのとき体調を悪くして一週間ほど寝込み、アマゾンで買いためていた本を床の中で読みふけっていました。そのなかで、大好きな幸田露伴と永井荷風が戦後市川に住んでいたことを知ることに。体がよくなって早速夫と一緒に露伴の家の跡を探しに行きました。露伴の住んでいたところは今は家も建て替えられ標も何もないのですが、住宅街は竹の垣根に「すずむしあげます」の張り紙がしてあったり、チリ一つなく掃き清められた神社があったり、趣のあるところでした。また、万葉集に詠まれたという真間の手児奈の伝説のある土地ということも知りました。古くは海岸線だったことがしのばれる高い松の木が所々に残るような市川を、夫もわたしもすぐに好きになりました。

4 件のコメント:

  1. 小さいころからずーっと千葉に住んでいる友達が、市川は東京に近いし、街も洗練されていて教育レベルが高く、憧れの土地だといっていました。いいところを選んで良かったな~と思いました。

    返信削除
  2. へえ、嬉しいこと教えてくれてありがとう!!

    返信削除
  3. 市川に決めたいきさつが興味深いです。ひょっとしたところから、住む場所を決めるきっかけが生まれてくるんですね。市川は一度も行ったことがないのですが、ヤマナラシさんの文章を読んで情景が湧いてきます。手入れのされたお庭とか、温かそうなご近所って住む場所を決める上で重要ですよね。

    返信削除
  4. chobiさん > それこそ塞翁が馬みたいですよね。市川のうちにもぜひ遊びにきてください、ってまだ住んでないのに言うのはなんかおかしいですね。

    返信削除